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精子提供には法規制が必要

2021年3月現在、Twitter で「精子提供者」と名乗る人は、私も含めて300人を超えています。日本人だけでなく、イギリス人、アメリカ人など外国出身の方も存在します。選択肢が多様化したので良いと考える方もいるかもしれません。しかし、現状は必ずしも良いことばかりとは言えません。

精子提供の事実は依然として周囲には言いづらく、また公的なサポートもなく、民間のサポート団体も少ないです。これは、精子提供に起因するトラブルに対する補償が一切受けられないことを意味します。起こりうるトラブルは、例えば以下のようなものが考えられます。

経歴詐称

ドナーが学歴、職歴、国籍などを詐称しているケースです。精子提供はドナー・クライアントともに匿名で行うケースが多いので、詐称を事前に確実に見分ける方法はありません。また、詐称の問題はクライアントにも存在し、クライアントが自己申告した情報が虚偽であって、ドナーが後々被害を被る可能性(例えば、選択肢シングルマザー希望のクライアントが「定職についており、親の支援もあるため養育は可能」と自己申告していたのが虚偽であって後ほど困窮しドナーが養育費を請求されるケース)もあります。

遺伝性疾患の発症

ドナーないしその親族が遺伝性疾患を持っていることを隠し、出産後に産まれた子どもにドナー起因の遺伝性疾患が発症するケースです。ドナーとの連絡がつかなくなっている場合、更に対処が困難になる可能性もあります。

音信不通

妊娠後にドナーと全く連絡が取れなくなってしまうケースです。子供の出自を知る権利が保証されなくなってしまい、将来的にアイデンティティ・クライシスを引き起こす原因となりえます。アイデンティティ・クライシスの事例はこちらこちらがあります。

ドナーの育児に対する干渉

ドナーは出産後のクライアントの家庭には基本的に干渉すべきではありませんが、妊活を一緒に行ったということから出産後もドナーが家庭に干渉してくるケースがあります。「女性との恋愛や結婚が難しいから精子提供を始めた」というドナーも存在し、このようなドナーはクライアントを擬似的な結婚相手とみなし、出産後に干渉してくるリスクが高いと考えられます。

その他ドナー・クライアント間の人間関係トラブル 等)

出自を知る権利の関係からも、ドナーとクライアントは長い付き合いになることが多いです。そこで人間関係が必然的に生じるので、それに起因するトラブルが起こるケースも想定できます。

公的・私的バンクの充実が必要

私が個人間提供の将来的な廃止を訴えているのは、上記のようなトラブルが起こった際に、最も弱い立場である子どもが被害を被るケースがあるからです。妊娠した子どもの堕胎や、虐待という最悪の事態を考えると、今の何ら法規制なく野放しにしておく状況が適切とは到底思えません。精子提供は公的・私的団体に限って行うべきで、それらの団体は法律の規制の元運用されるべきです。

生殖医療制度を検討する際に、第一に考慮すべきは子どもの利益です。子どもが不幸になる可能性が高い状況を放置するべきではありません。適切な法規制の元運営される団体が、ドナー・クライアントを事前に審査した上で精子提供は行われるべきです。

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